ケンミレ式投資; 下落初期の相場環境での投資手法

下落初期の相場とはどのような相場でしょうか。下落初期は『今後、上昇し続けるのか、既に大きな上昇相場が終わって、ここから本格的に下落相場に転換するのか』がまだ分かりません。
ですから、下落初期の投資戦術は、基本、天井圏の投資戦術と同じですが、違う点は『いよいよ本気で中期波動の下落トレンドがスタートしてしまった場合には、その後リバウンドした時の上昇率が上昇相場の時より全然低いので、その時には、すぐに戦術を変更し、大きく儲けようとは思わずに、一定の利益で満足する我慢の時期に突入した』と思うことです。

そして、一番大切なことは『危ないと思ったら休む』ということです。なぜ『危ないと思ったら休む』ことが一番大切なのでしょうか?それは『失敗した時のリスク』が全然違うからです。仮に、株式市場が大きく下がり、底値圏になる少し前に買ってしまったとしても、その銘柄というのは『持っていればいずれは上がる可能性が高い』です。しかし、下落初期とは『これから大きく下落する時』ですから優柔不断になりますと一瞬で下落し、損失が大きくります。また、高値圏で購入している訳ですから、もう一度同じ金額まで上がるか分かりません。ですから、とても危険な市場ということが分かります。従って、下落初期の相場では、損切りをすぐに出来る上級者以外は、損をする前に投資を行うことを止めましょう。
1 株式と現金の比率

初心者の人は必ず大損をしてしまうとても怖い相場なので「待つ」事を選びましょう。損切りが出来る自信のある上級者だけの相場市場です。しかし、株式比率はなるべく少なめにしておきましょう。この下落初期は再上昇となるのか、本格的な調整となるのかの判断が難しい局面です。したがって、天井圏と同じ考え方で投資することになりますが、天井圏や下落初期の相場はプロの投資家が参加する相場となりますので、一旦下落し始めますと『プロは恐怖を知っていますので、直ぐに損切り』をしてきます。つまり、非常に荒っぽい相場展開になります。そして、投資に使える時間がたくさんないと対応出来ない相場となります。従って、リスクは天井圏よりも高くなります。
目標利益率

これも天井圏と同じですが、下落初期が始まったとプロの投資家が認識した場合には、すぐに損切りで対処しようと考えますので、とても逃げ足が早い資金が多く参加しています。ですから、その銘柄が持っている上昇余力に対するヘッジは大きくしなければなりません。上昇余力という言葉は聞き慣れない言葉だと思いますが、非常に重要な言葉です。この意味は『その銘柄が持っている上昇する力=上昇率』のことです。この上昇率はその銘柄の成長性や人気度、過去の上昇率などによって、投資家の分析により感覚的に考えたものです。言い換えますと、色々なアナリストが企業訪問をして得た情報からその企業の成長力を分析して、この企業の株価は何円が正しいというレポートを書きます。そして、色々な投資家が色々なアナリストの分析レポートを参考にして買ったり、売ったりします。ということは、株価の動きは色々なアナリストの分析の結果であり、投資家の人気度の結果であり、過去の動きを参考にした投資家心理の結果ということになります。従って、株価の動きが『一番正しい総合的なその企業のアナリストレポート=ファンダメンタルズレポート』ということになります。チャートは、一番正しいファンダメンタルズ分析の結果だとケンミレは申し上げてきましたが、その理由は上記のような理由になります。但し、上昇余力は『相場環境』によって変わります。株式市場に流入する資金が増加すれば=景気が良くなれば、通貨供給量が増加すれば=上昇余力は通常よりも高くなり、景気が悪化すれば低下します。これは景気上昇で企業の業績変化率が大きくなること、日銀の通貨供給量が増加することで余った資金が株式市場に流入することという二つの理由によります。従って、平均上昇率を参考にしてまず目標利益率を考え、更に景気が良くなっていけばプラスアルファー、新聞などで通貨供給量を日銀が大きく上げれば目標利益率をプラスアルファーしますし、逆ならば差し引いて考えることになります。
損切り(重要)

損切りは天井圏と下落初期と下落途中というリスクが高い相場環境で投資する時には必須の条件となります。逆に言いますと優柔不断で損切りが出来ない投資家は、これらリスクが高い環境では投資はしてはいけないということになります。
保有期間

保有期間は天井圏よりも短くなって当然と考えておきます。それは天井圏で投資する投資家は常に相場が転換したら直ぐに売って逃げようと考えていますので、相場が盛りだしますと直ぐに売るからです。

まとめ 下落初期の相場環境での投資手法−下落初期はその後、まだ大きく上がるのか、このまま本格的に下落が始まるのかの二つの場合が考えられます。

1. 今後、大きく下がる可能性がある以上、株価比率を下げておく必要がある。
2. 本格的な下落が始まった場合、我慢の時期に突入するので、目標利益率は小さめにする。
3. 常に損切りを意識しながら投資を行う。
4. いつ買った株価を下回るかを意識しながら保有期間を短く少し利益が出たら売ることを心掛ける。